ハリプンチャイ期 大型の塼仏 [タイ発]
ハリプンチャイ期の大型の塼仏(写真1〜2枚目)を入手しました。型が深く非常に立体感のある塼仏です。この大型の塼仏はチェンマイ国立博物館が改装された際に新設された塼仏コーナーに2017年から展示されているもの(写真3〜5枚目)と同型のもので、私もその時初めてこの型の存在を知ったのですが、両斜め下に一緒に展示されている通称「プラ・シップペート(18仏の型)」と呼ばれる大型の塼仏よりもさらに大きいのでおそらくハリプンチャイ期最大サイズではないかと思います。次に博物館品と合わせて出来るだけ近い角度で写真を撮って比較して見ました(写真6、7枚目)が同型のものと分かります。博物館品は上部に少し欠けがあり腰から下の下半身部分は直しもしくは他の残欠を繋げているように見えますが照明が強くてはっきりとは分かりません。今回入手した上半身片にはハリプンチャイ期のテラコッタ仏に見られる朱色の顔料(赤土)が裏表全体にコーティングされています。おそらくこの2点はほぼ同時期に同じ(テラコッタ製の)金型から作られたものではないかと思っています。美術的にはハリプンチャイ様式ですがドヴァーラヴァティー美術の影響を受けた塼仏で年代的にはドヴァーラヴァティー期(6〜11世紀)末期にあたる、ハリプンチャイ期(11〜12世紀)頃のものだと思います。また光背の形状や体格が同時期のプラクルアン「プラ・コン」と共通している点(写真8枚目)も興味深く、下半身の残欠だけでもいつか見つかればと思っています。出土地はランプーン市内中心部西側のワット・チャーマテウィーから西へ向かったチェンマイ県境近くで数年前に発掘されたエリアです。タイも今週から国立博物館が再開されまた久しぶりにチェンマイ国立博物館に行きたいと思っている。
<追記>2020年5月26日 ケースが出来たのでさっそく入れてみた(写真3枚)。このサイズだと塼仏というよりも出土仏に近く、(一番下の写真・ワット・プラタート・パーガオ寺院の)上半身だけ出土したチェンセン仏に近いイメージになった。
<追記>2020年6月7日 本日チェンマイ国立博物館に行ってきましたので写真を追加します。目的の展示物がショーケースの奥にある為これ以上の写真は難しいですが前回よりも正面から撮影出来たと思います。展示物の記述詳細は現在アップデート中で残念ながら確認出来ませんでしたので館員と話をして来ました。チェンマイ国立博物館の展示物は現在のチェンマイ県内で出土したものが展示されているとのことで、この大型の塼仏はハリプンチャイ王国の中心地だった現在のランプーン県市内中心部から西側ヘ10キロほどのところにあるピン川沿いチェンマイ県側のウィアン・ターカーン、もしくはウィアン・マーノーのどちらかのようです(地図参照)。年代はハリプンチャイ期 西暦11〜13世紀のものです。
<追記>2020年9月9日 チェンマイのコンテストに参加した翌日にランプーン県に行ってきました。目的はこの塼仏の出土地だと思われるウィアン・マーノー(下の写真1〜5枚目)を見るためです。以前チェンマイ国立博物館の館員から聞いた通り、遺跡ではなくお寺になっていました。ただ住職に確認したところここが以前発掘されたハリブンチャイ期の古代都市(ウィアン・マーノー)があったエリアで間違いないようで敷地内の大きな菩提樹の根本には発掘時に出土した古いレンガ(テラコッタ)が集められていました。ここで出土した遺物の大部分が博物館で保管され一部のものが地主等を経由してコレクターに流れたのだと思います。その後ここから東へ9キロほどのところにあるランプーン市内のワット・チャーマテーウィーにも久しぶりに寄ってきました。(最後の写真4枚)
(
Buddhist Sculpture of Northern Thailand
- 作者: Stratton, Carol
- 出版社/メーカー: Serindia Pubns
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: ハードカバー
本日チェンマイ国立博物館に行ってきましたので画像を追加しました。
by プラヤー (2020-06-07 19:00)
塼仏の出土地(チェンマイ〜ランプーン)を見て来ましたので写真追加しました。
by プラヤー (2020-09-09 17:36)