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ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)その2 [ベトナム発]

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写真1枚目は先日入手したタイ南部出土のヴィシュヌ立像(砂岩製)です。写真2、3枚目は文献に掲載されているベトナム南部アンザン省に隣接するドンタップ省で1998年に出土したヴィシュヌ立像(砂岩製)の発掘時の写真です。約1.6メートルとかなり大型のものです。今回は扶南国の港市があったと言われているオケオ(アンザン省)の近郊で出土したこのヴィシュヌ立像と比較してみました。写真4、5枚目はこれら(サイズはまったく異なりますが)2点を比較してみたものです。手持ちの限られた写真を使った比較になりますが、写真4枚目では鼻筋の通った彫りの深い顔、インド(西洋?)的な顔付き、また正面を見据えた姿勢もよく似ています。写真5枚目は胴体部分の比較ですががっしりとした体つきや胸部から腰までの体の曲線等、そっくりなのが分かります。また砂岩表面の比較においても約1300〜1400年の間、地中にあったという同条件の為かとても近い状態になっています。おそらく偽物ではこの状態は作れないと思います。今回入手した(左側の)像は(破損箇所の接着補修はありますが)出土時のほぼオリジナルの状態のままだと分かりました。写真6枚目は出土地のドンタップ省博物館に展示されているレプリカだと思います。出土時の写真も掲載されているようです。最後の写真3枚はオケオ古代都市跡にある博物館の写真です。周辺の出土品の展示と他の博物館に展示されているオケオ周辺出土の神像の写真が掲示されています。いずれ行くつもりです。今回比較に使ったドンタップ省出土のヴィシュヌ立像の写真(一番下の写真左側)も掲示されており、記述には7〜8世紀となっています。ここまでの考察から今回入手したタイ南部出土のヴィシュヌ立像は扶南国支配期7〜8世紀に作られたものだと思います。

<追記>2021年10月29日 先日、鈴木峻さんの「扶南・真臘・チャンパの歴史」(めこん)を読んでかなり勉強になったので下にリンクを追加しておきます。この本を読み終えて、今回手に入れたヴィシュヌ像はおそらく扶南から盤盤地区(現在のスラータニーやチャイヤー)に移住した職人(仏師)によって造られたものだと思いました。

<追記>2021年12月7日 カンボジア国立博物館蔵のスカンダ(軍神 64センチ、出土地不明)の写真(1、2枚目)を掲載します。スカンダはシヴァ神の息子で孔雀の背に直立しています。年代はプレアンコール期 7世紀初め頃のものです。写真3〜5枚目はこのスカンダ像とヴィシュヌ像を比較したものです。顔や斜め上に反った姿勢等よく似ており製作年代も近いと思っています。
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<追記>2022年3月14日 ベトナム南部カントー省立博物館に提示されている扶南時代の石像写真を追加します(写真1、2)。展示品の記述はまだ見ていませんがオケオ周辺で出土したものです。写真左下に石像がありますが左側のものが今回入手した石像と作風やサイズもかなり近いように見えます。もしかしたら今回入手したものはオケオ周辺で作られてからタイ南部の盤盤地区(現在のスラータニーやチャイヤー) に運ばれたものの可能性もあるといえます。年代的にはほぼ同時期に作られたものだと思います。写真3枚目は撮影角度は異なりますが並べて比較したものです。参考まで。
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<追記>2022年6月19日 記事の続き(その3)を書きましたのでリンクを貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2022-06-19

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  • メディア: 単行本



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プラヤー

<追記>カンボジア国立博物館蔵のスカンダ像(プレアンコール期)とヴィシュヌ像を比較してみました。
by プラヤー (2021-12-07 23:08) 

プラヤー

(写真追加)ベトナム南部カントー省立博物館に提示されている扶南時代の石像写真を追加します。
by プラヤー (2022-03-14 00:49) 

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