ハリブンチャイ仏像頭部 初期〜中期(テラコッタ製) [タイ発]
かなり前にハリプンチャイ期初期のものとして入手したランプーン出土のテラコッタ製の仏像頭部です。その下の写真2枚目はランプーン市内のハリプンチャイ国立博物館に展示されているブロンズ製の仏像頭部で大型のものです。下の記述にある通り、ドヴァーラヴァティー美術(タイ東北部)の影響を受けたハリブンチャイ期初期 仏暦14〜15世紀(西暦9〜10世紀頃)のものです。その下の写真がこれら両頭部を並べて比較したものですが顔部分の眉、目、鼻、口等の形状がよく似ています。また螺髪も大きいです。この比較からテラコッタ製の頭部も同様にドヴァーラヴァティー美術様式の影響を濃く残しており年代的にはハリプンチャイ初期〜中期10〜11世紀(ドヴァーラヴァティー期末期)のものだと思います。いずれにしても時代の狭間に作られた仏像でとても貴重な遺物と言えます。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ドヴァーラヴァティー期 土器の欠片(チャンセン出土) [タイ発]
博物館級のテラコッタ片を入手しました。ドヴァーラヴァティー期の土器の欠片ですがなんとラクシュミー神が模様になっています。先日にも記事にしたヒンズー神のラクシュミーは富と美の女神でおそらくかなり位の高い人物が使用するための器もしくは儀式に使う器だったのではないかと思いますがはっきりとは分かりません。同様のものはチャンセン博物館に展示されているライオン(獅子)模様の土器片(写真4枚目)がありますがとても貴重なものです。また最後の2枚はソムデット・プラナラーイ国立博物館に展示されている同時代のものです。薄く模様も繊細でかなりクオリティが高い造りだと感じました。タイ人コレクションでこのほかにクベーラ神模様の土器片も見たことがあります。ちなみにラクシュミー神の両隣は一対の象でこのパターンはインド・ヒンズー美術から影響を受けたものでドヴァーラヴァティー初期にも好まれて用いられたデザインです。以前記事にしたドヴァーラヴァティー期の古代都市チャンセンやウートンでは片側がクベーラ神もう片側がラクシュミー神の塼仏が出土していますが同様のパターンになっています。チャンセン博物館の記事のリンクを貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2018-05-18
<追記>2020年6月13日 ケースが仕上がったので写真を追加します。陶器の欠片が素晴らしいお守りになりました。7〜8世紀ごろのものです。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ハリプンチャイ青銅仏頭部 [タイ発]
かなり前に入手したハリプンチャイ期ブロンズ製の頭部(写真1〜3枚目)です。年代的には12〜13世紀頃のものです。繋がった眉、切れ長の目、少しエラの張った輪郭等、特徴的な美術様式は前時代のドヴァーラヴァティー美術やまたインド、バングラデシュのパラ美術、ミャンマーのパガン美術からの影響を受けています。ハリプンチャイ期の仏像はほとんどがテラコッタ製(土製)でブロンズ製の仏像はごく僅かしか作られていませんがランプーン市内のハリプンチャイ国立博物館には同時代の大型のブロンズ製頭部(写真4、5枚目)が展示されています。写真4枚目はドヴァーラヴァティー美術の影響がまた濃く残っているので10〜11世紀頃?かもしれません。また写真5枚目はウートン美術の影響が見られるので13世紀末〜14世紀にかけてのものではないかと思います。写真6枚目はハリプンチャイ時代の仏像がそのまま残っているランプーン市内のワット・チャーマテーウィー寺院です。久しぶりに行きたくなりました。
Buddhist Sculpture of Northern Thailand
- 作者: Stratton, Carol
- 出版社/メーカー: Serindia Pubns
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: ハードカバー
豊かさの象徴 ラクシュミー神 [タイ発]
年末にラーブリー国立博物館で見た石製のラクシュミー神像の欠片です。丘の上で発見され市内の学校で保管されていたものが博物館に寄贈されたものです。実物を撮った写真よりも博物館の掲示(写真2枚と3枚目)が分かりやすいと思います。このラクシュミー神と両側2頭の象と同じ構図の遺物はドヴァーラヴァティーの古代都市があったナコンパトムやスパンブリー県ウートンで出土しておりラーブリーもまた同じドヴァーラヴァティーと繋がりを持つ都市だったと言えます。今回このラクシュミー神像を記事にしたのは以前入手した石製の神鳥ハンサの欠片と材質や造りがよく似ていたからです。共にヒンズー神(美術)の破片で全体がどのようなものだったのかは分かりませんが同時期に作成された関連あるものだと思いました。ハンサ片はステンレスケースを作って保管していますが今後もさらに手掛かりを見つけて行ければと思います。以前の記事のリンクを貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー