ウートン青銅仏頭部 初期〜中期 [タイ発]
ウートン初期から中期の青銅仏頭部(写真1〜3枚目)です。美術的に短い期間に作られたもので、青銅も薄く完品も少ないと言われています。この頭部も残欠ですが美しい緑青や美術レベルの高さから入手して以来、頭部コレクションのひとつになっています。写真4枚目はスパンブリー国立博物館に展示されているロッブリー期(12〜13世紀)後のウートン初期(14〜15世紀)のもので多くの文献に掲載されている頭部です。顔つきはまだクメール美術の影響を残しています。写真5枚目は2点を比較したものですが私のもの(右側)は顎が丸みを帯びており、スコータイ美術(14〜15世紀)の影響を受けているだろうと意見をもらっています。
The Sacred Sculpture of Thailand: The Alexander B. Griswold Collection, the Walters Art Gallery
- 出版社/メーカー: Univ of Washington Pr
- 発売日: 1997/12/01
- メディア: ハードカバー
ドヴァーラヴァティー期 青銅仏 倚像残欠 [タイ発]
写真1〜3枚目はドヴァーラヴァティー期の青銅仏残欠でかなり以前に入手したものです。肩付近に付いている装飾が購入時から何かと気になっていましたが文献で調べてたら分かりました。写真4、5枚目は石製のレリーフ(プラ・パトム・チェディ国立博物館蔵)ですがこの倚像の仏座後方の装飾部分と比較(写真6、7枚目)してみたところそっくりでした。ちなみに写真8枚目はワット・スタット (Wat Suthat)の本尊台座裏側のレリーフですが同様の装飾が見られます。ということでこの残欠は珍しい青銅倚像の残欠でかなり重要なものだと分かりました。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Metropolitan Museum of Art Series)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
アユタヤ末期〜ラタナコーシン初期 仏画 [タイ発]
持っている仏画の中で一番大型のものですが、大きさは別にしても色づかいや構図がとても迫力のある作品です。写真4枚目は文献に掲載させているアユタヤ時代の経典 17〜18世紀(タイ国立図書館蔵、左側)と比較してみたものですが繊細さは匹敵すると思います。かなり以前に国境付近で入手したものでカンボジア側のものかもしれませんが年代的にはアユタヤ末期〜ラタナコーシン初期(18世紀末)頃のものです。
扶南(プレアンコール) 頭部 [ベトナム発]
チャンパ初期(ベトナム南部)ガラス製の頭部(写真1〜4枚目)です。材質的には古代ビーズに近いと思います。ケースから出して撮影しました。はっきりと分かっていませんがヴィシュヌ神か菩薩の頭部だと思います。今回はメトロポリタン美術館に展示されている弥勒菩薩像(ブロンズ製、写真6〜8枚目)と比較(写真5枚目)してみました。違いはありますが年代的には近いと思います。このようにパッチリと目を見開いた像は(タイ国境付近を含めた)カンボジアのプレアンコール期やベトナム南部(オケオ周辺)で出土した像に見られます。以前ベトナムの博物館で見たヴィシュヌ神(石像頭部)の記事を貼りつけておきます。こちらの方が近いかもしれません。参考まで。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-07-03
<追記>2020年11月18日 ホーチミンの博物館の展示品(6世紀、プノン・ダ様式のヴィシュヌ神像頭部)と比較して見ました。やはりヴィシュヌ神の顔に近いような気がします。参考まで。
<追記>2020年11月28日 先日、飛鳥(白鳳)美術の勉強をしに奈良に行った際、飛鳥資料館で見た古代ガラスの写真を追加しておきます。日本産のガラスが製造され始めたのは飛鳥時代7世紀後半から、百済からの技術交流で初めて可能になったようです。このガラス製の頭部も同時期頃に同様の方法で作られたものではないかと思いました。
<追記>2021年11月5日 記事のタイトル「チャンパ初期(プレアンコール) 頭部」を「扶南(プレアンコール) 頭部」に変更しました。
<追記>2023年9月24日 オケオ文化の文献に掲載されているオケオ出土の古代ビーズの写真を掲載しておきます。実際に博物館の展示品を撮影した写真よりも綺麗で表面の材質感も分かりやすいです。写真3枚目が文献のビーズ(古代ガラス)と頭部を比較(色、材質感)してみたものです。参考まで。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Metropolitan Museum of Art Series)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
お守りの欠片? ドヴァーラヴァティー期(スパンブリー出土) [タイ発]
とても珍しいもの(写真1枚目)を入手しました。最初これを見た時、何かは分かりませんでしたが馬や象の彫刻を見た瞬間に凄いものだと感じ即決しました。その後、以前撮影しておいたスパンブリー県ウートン国立博物館の展示品から確認出来たのが写真2〜4枚目のもので同類のものです。博物館の記述(写真5枚目)には「お守り・ドヴァーラヴァティー期 7〜9世紀」と書かれており、お守り又は儀式か何かに使われたものだと思います。作風や石の材質も今回入手したもに近く、ほぼ同時期に同エリアで作られたもののように見えます。また馬や象が使われているあたりインド美術の影響を強く受けているようです。写真6枚目はバンコク国立博物館に展示されているナコンパトムの仏塔プラ・パトムチェーディーの出土品(完品)ですがこれも同系統のものだと思います。とにかくこのような博物館級の遺物を逃さずに無事手に入れることが出来ほっとしています。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Metropolitan Museum of Art Series)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ドヴァーラヴァティー期 青銅仏坐像 [タイ発]
コレクションのドヴァーラヴァティー期 青銅仏坐像(写真1枚目)です。写真2、3枚目は下のドヴァーラヴァティー期の文献に掲載されているバンコク国立博物館とタイ王族のコレクションですがよく似ていたので比較(写真4、5枚目)してみました。見ての通り印相や頭頂部の形状は異なりますが頭部や顔つき、体つき、下半身、全体のバランス等よく似ており造られたエリアも近いものではないかと思っています。年代的には日本の白鳳時代と同時期ごろのもので近いうちに奈良、明日香(飛鳥)に勉強しに行く予定です。
Archeology of the Mon of Dvaravati
- 作者: Dupont, Pierre
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: ペーパーバック