ミャンマー ラカイン州 アラカン青銅仏 16〜17世紀 [ビルマ発]
珍しいアラカン王国の青銅仏を手に入れました。アラカン王国はミャンマー西部ラカイン州ミャウー(Myauk-U)で15世紀頃〜18世紀まで栄えた王国です。現在でも16世紀ごろの最盛期に建てられた遺跡群が大きなダメージなく残っています。写真が入手した青銅仏ですがかなり小型です。仏像部分だけならプラクルアン(お守り)サイズかもしれませんが、美術的には他のビルマの仏像とは異なる特徴的な美術様式をもっています。その1つがこの幾何学的なデザインの台座です。下から2枚目の写真は文献写真のものと並べて撮った写真ですが、台座の形状や美術様式がそっくりです。また少し前かがみの姿勢もこのアラカン美術の特徴だと思います。最後の写真が(文献に掲載されている)遺跡内部の仏像と比べてみたものですが、姿勢(頭部の傾き等)や頭頂部の形状がそっくりです。アラカン青銅仏は東京国立博物館にも文献同様のものが数点展示されていますので興味のある方はぜひ行って見て下さい。
<追記>2023年9月12日 頂いたコメントから台座はヨニということが分かりました。またそこから、この小さな仏像部分がリンガをイメージして作られたことが推測出来ました。下の写真はベトナム南部アンザン省博物館に展示されているオケオ出土のリンガとヨニ(国宝、5〜6世紀)です。出土地、年代もまったく異なりますが比べてみました。何となくバランスが似ています。台座のサイズに対し、仏像部分がやけに小さく不自然さを感じていましたがこれで少し謎が解けたような気がしました。参考まで。
<追記>2023年9月12日 頂いたコメントから台座はヨニということが分かりました。またそこから、この小さな仏像部分がリンガをイメージして作られたことが推測出来ました。下の写真はベトナム南部アンザン省博物館に展示されているオケオ出土のリンガとヨニ(国宝、5〜6世紀)です。出土地、年代もまったく異なりますが比べてみました。何となくバランスが似ています。台座のサイズに対し、仏像部分がやけに小さく不自然さを感じていましたがこれで少し謎が解けたような気がしました。参考まで。
Burma's Lost Kingdoms: Splendours of Arakan
- 出版社/メーカー: Orchid Pr
- 発売日: 2001/12/01
- メディア: ハードカバー
青銅仏トルソー ピュー時代 or ドヴァーラヴァティー期 [ビルマ発]
今年度、第1回目の記事は昨日入手したばかりの青銅仏のトルソー(写真1、2枚目)です。ドヴァーラヴァティー期のものとして入手しましたが、もしかしたら同時期のミャンマー ピュー時代のものかもしれません。写真3枚目は参考写真ですがメトロポリタン美術館蔵のピュー時代の青銅仏(8〜9世紀初め)です。写真4枚目は写真3枚目と比較したものですが胴体部の体のラインや美術様式が非常によく似ています。今年度はブログ「タイ骨董日記」ご期待下さい(祝!東南アジア開国)
<追記>2022年4月3日 ミャンマーの首都 ネピドー国立博物館に行った時に撮ったピュー時代の青銅仏(8世紀)の写真(1枚目)を追加します。写真3枚目のように比較してみましたがやはりかなり近いです。入手元に聞くとこの青銅製トルソーの元オーナーは以前ミャンマーとの国境メーソートに店を構えていた時期があったとの事。ピューのものの可能性が高まりました。
<追記>2022年4月13日 バガン遺跡群にあるバガン考古学博物館にいった時に撮影したピュー時代青銅仏(写真1枚目)と比較(写真2枚目)してみましたが、やはり今回入手した青銅仏のトルソーはほぼピュー時代のものと考えて良さそうです。
<追記>2022年9月3日 写真屋で撮影してきましたので写真を追加しておきます。毎度自己満足ですがミュージアムクラスのトルソーだと思います。4枚目はメトロポリタン美術館(左側)との比較ですが右足の位置も同じです。ピューのもので確定だと思います。
<追記>2023年1月30日 ミャンマーのピイ(ピエ)にあるSri ksetra(スリクシェトラ)考古学博物館にあるピュー青銅仏の下半身残欠の写真を追加します。組んだ足を強調させたような美術様式が素晴らしいと思います。その下は比較したものです。毎度自己満足ですが博物館級の残欠です。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
子象がやって来た。ミャンマー青銅美術 [ビルマ発]
今年最初の買い物です。ミャンマーから来たブロンズ製の子象です。ミャンマー・カレン州のミャワディーからタイ国境のメーソートを経由して入ってきた物です。目が可愛く、尻尾もあります。裏側からは黒変した土が詰まっているのが分かりますがこれはビルマを代表する青銅芸術である仏陀ストーリーシリーズと同じ特徴をもっています。(最後の写真の)頭を少し下げたしゃがんだ姿から分かるように仏陀の説法を聞いているシーンの象だと思います。このような単体の象はなかなか見つからず人気アイテムの1つです。可愛らしいサイズなので勝手に子象と呼びましたが以前手に入れた大型の象の一対(つがい)の家族になりそうです。年代は18〜19世紀。以前記事にした大型の象のリンクを貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-12-27
Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection
- 作者: Karow, Otto
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: ペーパーバック
シャン美術 お弟子像(ガルーダ顔) [ビルマ発]
2022年あけましておめでとうございます。今年も頑張っていきます。写真はミャンマー・シャン州の青銅製お弟子像ですがお顔がヒンズー神のガルーダになったとても珍しいものです。年代的には18〜19世紀。今年もいいものとの出会いがありますように!
Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection
- 作者: Karow, Otto
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: ペーパーバック
シャン青銅 奉納者像 [ビルマ発]
シャン様式のブロンズ像です。写真4枚目から分かるように小型の像ですがシャン美術の模範になるような顔つきで表面はブラウン・パティーナで覆われた状態最高の優品です。もともとミャンマー国境のあるタイ北部在住の方がコレクションしていたものでした。かなり前のことですが他のものを買いながら何度も通い続けて譲って貰ったものです。18〜19世紀頃のもの。
Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection
- 作者: Karow, Otto
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: ペーパーバック
シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃(その3) [ビルマ発]
仏陀ストーリー初期、年代的には17〜18世紀のものだと思います。分厚いブロンズ製です。写真4枚目はMyauk-U ミャウーにあるアラカン王国時代(15〜18世紀)の遺跡の仏像ですが、どっしりとした体型や大きな耳の造り等、おそらくこれらの美術の影響を受けたのではないかと思います。参考まで。
Burma's Lost Kingdoms: Splendors Of Arakan
- 作者: Gutman, Pamela
- 出版社/メーカー: Weatherhill
- 発売日: 2001/01/01
- メディア: ハードカバー
Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection
- 作者: Karow, Otto
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: ペーパーバック
シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃(その2) [ビルマ発]
もう一点持っている仏陀ストーリー初期頃(17〜18世紀)の作品「釈迦誕生のシーン」です。写真1枚目は摩耶夫人です。繊細な造りで表情がとてもリアルです。手で持った写真を掲載した過去の記事を貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2015-05-10
Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection
- 作者: Karow, Otto
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: ペーパーバック
シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃 [ビルマ発]
シャンの仏陀ストーリーシリーズの中でもとても珍しい形状のものです。3段のピラミッド型で仏陀(釈迦)が頂上に座り、2段目以下に弟子が座り、象や鹿なども捉まって説法を聞いているシーン(初転法輪?)です。最近気づいたのですが全体の形状を見るとおそらくこの作品はシャン族の寺院をイメージして作られたものだと思います。また写真3枚目は1枚目を拡大したものですが顔つきが洗練されていく中後期に比べて(よりプリミティブな)以前の様式に見えます。年代的にはシャン(タイヤイ)美術初期頃 17〜18世紀のものかもしれません。具対的な資料があればまた追記したいと思います。
<追記>2021年6月15日 バンコク国立博物館に展示されている仏陀ストーリーの名品の写真を追加しておきます。大型で台座部は分厚くしっかりとした造りです。記述は17〜18世紀となっています。アユタヤ美術の影響を受けているように感じます。18世紀に入った頃のものかもしれません。参考まで。
Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection
- 作者: Karow, Otto
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: ペーパーバック
シャン青銅仏 小型 [ビルマ発]
今日から6月。写真1、2枚目は塗金や台座部には朱色の塗料(チャート)が残った小型のシャン青銅仏です。実物はまだ見ていませんが最近入手したものです。後頭部には菩提樹もしくは光背があった跡があります。年代的には18世紀後半から19世紀初め頃のものですが、以前手に入れた高さ30センチ程のシャンの木製仏(写真3枚目)と比較して見ると美術様式やバランスがほぼ同じなのでこの2点は製作年代も近いと思います。
Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection
- 作者: Karow, Otto
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: ペーパーバック
シャン青銅 プラ・ウパクット [ビルマ発]
シャン(タイヤイ)様式のウパクット仏です。青銅表面の緑青は磨かれておりピカピカのブロンズで分厚くてとてもいい材質です。年代は18〜19世紀、シャン美術からマンダレー美術にかけてのものです。希少なお守りサイズなのでいつか銀ケースに入れたいと思っています。実物はまだ拝めていませんが、、。
Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection
- 作者: Karow, Otto
- 出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: ペーパーバック