ほとけと神々大集合(龍谷ミュージアム) [その他]
先日、龍谷ミュージアムで開催されている企画展「ほとけと神々大集合 ―岡山・宗教美術の名宝―」を見に行ってきました。内容も素晴らしくとても勉強になりました。内部の写真撮影は不可ですので図録の写真を2点(写真2、3枚目)掲載させていただきます。2点とも岡山県指定重要文化財で今回の企画展メインの展示品です。上が木造 宝冠阿弥陀如来坐像(鎌倉時代、西暦1329年)、下が木造 男神坐像(平安時代後期、10〜11世紀)です。その下の写真4、5枚目は上記2点と同時期ごろの東南アジア仏を並べて比較してみたものです。まず1つ目は阿弥陀如来像の頭部との比較ですが以前入手したテラコッタ製頭部(ランカー初期?、13〜15世紀?)を並べてみました。企画展の記述には「髻(もとどり)を高く結い上げ宝冠を着け、、、結跏趺坐する。はっきりと弧を刻む眉など凛々しい表情である」と書かれていますが、美術様式が共通しているように思えます。次は男神坐像です。記述には「両目を弓なりに吊り上げ、、、口を大きくへの字に曲げた独特の表情で、、」と書かれていました。こちらには年代の近いハリプンチャイ期仏像頭部(テラコッタ製、11〜13世紀ごろ)を並べてみましたが独特の目や顎の形状もよく似ています。最近は国内の博物館で仏教美術品をよく見ていますが、日本の仏像でも同時期の東南アジアの仏像と美術様式で共通する点があり、今までとは違う角度から年代の特定を試しています。その下3枚の写真は京都国立博物館です。こちらも内部の写真撮影は出来ませんので外観のみです。タイ行きはまだ時間がかかりそうですが、ブログは引き続き頑張っていきます。
パキスタンの菩薩像 残欠(テラコッタ製) [その他]
約2年前に入手したテラコッタ製の残欠です。ずっと年代と出処が気になっていたのですが先日メトロポリタン美術館で同じ美術様式の像を見つけることが出来ました。それが写真2枚目から5枚目パキスタン北部スワート渓谷のものです。その下の写真はそれらの胴体部を拡大したもので最後2枚はテラコッタ像と比較した写真です。体の形状、肉づきや腰部の布の表現方法が同一ということが分かると思います。またテラコッタ像と同じく肩には螺髪がかかっていました。材質は異なりますがテラコッタ製の残欠で分かる美術様式のほとんどが共通しており、入手先がガンダーラと言っていた点も最初は信じていませんでしたがインド北西部ガンダーラ地方に近いパキスタン北部のスワート渓谷となればまんざらてきとうな説明ではなかったのだと思いました。また展示されているこれらの菩薩像は7世紀と記述されており、とりあえずこれで年代と出処がおおよそ分かり良かったのですが、メトロポリタン美術館では東南アジアのものよりも西側のより仏教の源流に近いインドやパキスタンのものが充実していました。全ての美術を把握していくことはな大変なことですが仏教美術伝来の道筋や美術の移り変わりを把握する上でやはりおおまかでも知っておく必要があると思いました。今後の課題にしたいと思います。テラコッタ像の以前の記事リンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2017-10-07
<追記>2020年7月19日 先日やっとこのトルソーを設置する台のアイデアが思い浮かび発注したものが、無事仕上がり今日モノが届きました。テラコッタなので穴を開けないで設置出来るタイプです。イメージ通りで素晴らしい。
<追記>2020年7月24日 写真3枚追加。こちらもメトロポリタン美術館で展示されて同じくパキスタン北部スワート渓谷の彫刻(大理石製)で中央が仏陀蔵、両脇が菩薩像です。追加した写真1枚目は右側の菩薩像を拡大したものですがテラコッタ製の残欠(トルソー)はちょうどこのような像だったのではないかと思います。
<追記>2021年9月20日 テラコッタ製ではなく粘土製のようです。アフガニスタンのフォンドゥキスタン出土の「飾られた仏陀像(ギメ東洋美術館、8世紀)」と技法や年代も近いと思います。やはりグプタ朝インド美術の影響を受けているようです。タジキスタンのアジナ・テペ出土のものとも年代も近いと文献を見て感じました。
メトロポリタン美術館(ニューヨーク) [その他]
そしてメトロポリタンミュージアムです。細かくは書きませんが一言だけ「最高」でした。カンボジアのプレアンコール期、タイのドヴァーラヴァティー期、そしてブリラム県プラコーンチャイ出土の大型の青銅菩薩像、タイ南部からインドネシアにかけてのシュリーヴィジャヤ美術(ジャワ美術)等々、1000年〜1400年前の東南アジア初期の超一級品を間近で見てきました。ニューヨーク滞在中は毎日通いました。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia
- 作者: John Guy
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ボストン美術館 (Museum of Fine Arts, Boston ) [その他]
先週ボストンとニューヨークに行って来ましたので美術館の写真をアップしておきます。先ずはボストン美術館です。文献で何点か東南アジア初期の美術品があるのを確認していましたがインドやインドネシア、チベット等を含めて結構楽しめました。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia
- 作者: John Guy
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ボストンとニューヨーク(祝!! 200万アクセス) [その他]
昨日からボストン入りしています。今回はボストンとニューヨークの美術館を回って東南アジア初期の美術を見てまわる予定です。後ほど記事にしたいと思います。題名にあるように今朝カウンターが200万を通過致しました。今後とも本ブログを宜しくお願い申し上げます。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia
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- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
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インドネシア国立博物館 [その他]
インドネシア国立博物館に来ています。今回は運良く本館を見学することが出来ましたので記事にしておきます。本館(現在閉館中)は新館の隣の建物(写真2、3枚目)です。本館の歴史は200年以上と古く、現在の建物が完成してちょうど150年経つようです。とても重厚感のある素晴らしい建築物です。その建物の中にボロブドゥール寺院が建設されたシャイレーンドラ朝時代(8〜9世紀)のヒンズー神や仏像等の石造の彫刻、青銅品の一級品が展示・保管されています。仏像好きにとっては天国のような場所で1日中いてもいいくらいの場所です。この時代のものはタイのシュリーヴィジャヤ美術、カンボジアのプレアンコール美術とも共通する点が多く、特に石像はものすごい迫力です。青銅品は見れませんでしたが、本館の再オープンを待ってまた拝みたいものです。話は変わりますがヤフオクに10品ほど新規出品致しました。
Indonesia - Indian Art 2016: Buddhist and Hindu art and architecture of Java and Bali (Calvendo Art)
- 作者: Rudolf Blank
- 出版社/メーカー: Calvendo Verlag GmbH
- 発売日: 2015/05/10
- メディア: カレンダー
インドネシア国立博物館 [その他]
約15年ぶりにインドネシアのジャカルタに来ています。着いた翌日にさっそくインドネシア国立博物館に行って来ました。ただ残念なことに改装工事中で一部しか見れませんでした。工事が終わるのは来年とのこと。何月か尋ねましたが分からないと行っていましたので来年も怪しいと思います。でもほんの一部の青銅仏が拝めましたので掲載しておきます。地理的にも近いタイ南部のシュリーヴィジャヤー美術に近いです。タイ美術よりもインド美術の影響を強く受けているようです。改装工事が終わればまた来る予定です。
Violence and Serenity: Late Buddhist Sculpture from Indonesia
- 作者: Natasha Reichle
- 出版社/メーカー: Univ of Hawaii Pr
- 発売日: 2007/07
- メディア: ハードカバー
ボロヴドゥールの仏像頭部 [その他]
10年ほど前にインドネシアのジョグジャカルタにある仏教遺跡ボロヴドゥール(9-10世紀)に行ってきた時に撮った仏像頭部である。インド美術やタイ南部のシュリーヴィジャヤ美術の影響を受けて独自の美術を持っていた。
何処の何時のコインでしょうか? [その他]
リーマンパッカー氏のコイン(その2)です。
「上と真ん中は素材が違うのみで同一コインです。
裏表の関係で、どこの国のどの時代でしょうか?また、ダウーということで、購入しましたが、ダウーとは??? 下のコイン これは一体どこの国のどの時代でしょうか?」
あまり見たことのない美術ですね。不思議なコインです。一体どこの文明のコインなのか?
リーマンパッカーさん。補足説明願います。