先月アランヤプラテート(サケーオ県)からカンボジアに入国する前に久しぶりにプラチンブリー国立博物館に行って来ました。このプラチンブリー県や隣県サケーオ県にはドヴァーラヴァティー期やプレアンコール期(6〜8世紀頃)の仏像やヒンズー神像等の遺物が発見された有名な出土地シー・マホソットやプラサート・カオノーイシーチョンプー遺跡等があり、その重要な出土品をこの博物館で拝むことが出来ます。博物館の展示品についてはまた後ほどアップしたいと思います。ところでアンコール期(9〜13世紀頃)以前の時代をプレアンコール期(6〜8世紀頃)といいますが、このプレアンコール期は4つの様式(年代)に分けられています。最初にプノン・ダ(アンコール・ボレイ)様式(西暦540-600年)、次が2017年に新たにカンボジアの世界遺産に登録されたサンボープレイクック(遺跡)様式(西暦600-650年)、次がプレイ・クメン様式(西暦635-700年)、そして最後がコンポン・プレア様式(西暦706-800年)です。前置きが長くなりましたが、写真1〜3枚目はプラチンブリー国立博物館に展示されているプレイ・クメン様式のリンテルです。3枚目はこのリンテル両端に彫られた人物像を拡大した写真です。今回はこの人物像とかなり以前に入手した同じくプレアンコール期(プレイ・クメン様式)の青銅仏(サケーオ県出土、写真4枚目)の頭部を比較してみました。その下の写真3枚が拡大して比較したものです。プレイ・クメン様式の仏像や神像を見る機会がなかなかありませんのでこのような比較になりますが流石は同時期のもので出土地も近いだけあって、顔の輪郭、螺髪の大きさや耳、口、眉などの形状、全体のバランスがよく似ています。青銅仏の年代もリンテルとほぼ同時期のプレイ・クメン様式(7世紀後半から8世紀初め)のものと言っていいと思います。

Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia

  • 作者: John Guy
  • 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
  • 発売日: 2014/05/06
  • メディア: ハードカバー