ドヴァーラヴァティー期 テラコッタ製の台座(写真1〜3枚目)です。元はライオン像の台座部分の残欠で天面には4つのライオンの足が残っています。ドヴァーラヴァティー期の出土品の中でもあまり見ない独特なデザインで、西洋的な美術様式を感じます。同時期のものがロッブリー市内のソムデット・プラナーラーイ国立博物館(写真4、5枚目)やウートン国立博物館(写真6枚目)に展示されています。これらのライオン像はインドの国章のモデルになっている「アショーカの獅子柱頭 」(写真7枚目、紀元前250年頃、サールナート美術館蔵)から長い年月をかけて引き継がれてきた美術だと思います。年代的にはインド(ヒンズー)美術の影響を受けた東南アジア美術初期のもので7〜8世紀ごろです。以前入手した同時期頃のライオン像も持っているので過去記事のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2006-03-31



<追記>2023年6月15日 この特徴的な台座の形状と似たもの文献で見つけたので掲載しておきます。1枚目はベトナム南部オケオに近いキエンザン省で発掘された木製の柱です。5、6世紀頃のものだと思います。写真2枚目はナコンパトムで発見された石製の仏塔です。サンスクリットが彫られたもので円柱周囲の模様がよく似ています。こちらは8世紀前半と記載されています。参考まで。


Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)

  • 作者: Guy, John
  • 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
  • 発売日: 2014/05/06
  • メディア: ハードカバー