以前入手した中国様式の青銅仏(写真1枚目)ですが、先週末にチェンライ北部のチェンセンに行った際に立ち寄った丘上の寺の展示室でまた見つけました。展示棚の中には周辺で出土した様々なものが陳列されています。3枚目の写真が展示品との比較です。若干違いはありますが目や美術様式がそっくりで同時代に近いエリアで作られたものだと思います。チェンセンはゴールデントライアングルに近く、メコン川対岸はラオス、40キロほどでミャンマーとの国境があるメーサイです。またラオス、ミャンマーをはさんで西双版納(中国)も近い位置にあり、中国のものが出土することもうなずけます。この中国様式の青銅仏はシャン様式の青銅像やテラコッタ製の仏塔といっしょに展示されていましたが実際シャン美術(タイヤイ、タイルー)は中国美術の影響も受けていますからね。頭部の形状はビルマのアヴァ様式(15〜16世紀)の仏像に近いものを感じさせます。青銅の材質はチェンセン時代の青銅仏にかなり似ています。このことからこの青銅仏の年代はチェンセン時代後期(16〜17世紀)頃のもの、作られたのはシャン州か雲南省の国境付近ではないかと推測しています。タイ国内の博物館やこのような展示室を見てまわっているといろいろな疑問が少し解決していくように思えます。

Buddhist Sculpture of Northern Thailand

  • 作者: Carol Stratton
  • 出版社/メーカー: Serindia Pubns
  • 発売日: 2003/06/01
  • メディア: ハードカバー