写真1枚目はかなり以前に入手した青銅製の弥勒菩薩像(プラコーンチャイ様式)の上半身です。写真2枚目は今回メトロポリタン美術館で最も見たかったブリラム県プラコーンチャイ郡カオプラーイバットⅡ寺院出土の大型の青銅製菩薩像(こちらは観音だと思います)です。そして写真3枚目は実物を見ることは出来ませんでしたが同出土地でロックフェラー3世のコレクションである大型の弥勒菩薩像です。今回、博物館の展示物と比較して見て、サイズ状態は異なりますが髭がある点や後頭部の髪型等、細かい美術様式も共通していることから写真1枚目のものも同出土地のものだとほぼ確信出来たと思っています。年代的にも同時期8世紀のものです。

<追記>2023年10月9日 先月タイ中北部 ペッチャブーン県シーテープ遺跡が世界遺産に登録されましたがこのシーテープの聖地(丘)カオタモーラットの洞窟から発掘された弥勒菩薩の頭部(バンコク国立博物館蔵、写真左側)とプラコーンチャイ青銅弥勒菩薩の頭部と比較して見ました。写真2枚目が博物館記述です。その下の写真が聖地カオタモーラットと洞窟内の写真ですが、ドヴァーラヴァティー様式の仏像の他に頭部のない四臂の菩薩像が数体見えますがこれらの像のいずれかの頭部です。現在、シーテープ遺跡とそれに関連するドヴァーラヴァティー期の遺物がバンコク国立博物館で特別展示されており、詳しく展示、説明されています。前置きが長くなりましたがこのカオタモーラット洞窟内の仏像や菩薩像はプラコーンチャイ出土の青銅菩薩像と美術様式が近く、ほぼ同時期のものだと思います。参考まで。


Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia

  • 作者: John Guy
  • 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
  • 発売日: 2014/05/06
  • メディア: ハードカバー