再度、ベトナム歴史博物館(ホーチミン市)を訪れオケオ出土のヴィシュヌ神像(石像)を見て来ました。写真1枚目はオケオおよびオケオ周辺で出土した発掘品です。この中にある青銅製のヴィシュヌ神像(写真1枚目の上段右側から2つ目、キエンザン出土)はベトナムの国宝に指定(2012年)されています。写真2枚目が砂岩製のヴィシュヌ神像で右側がオケオ(アンザン省出土、6〜7世紀)のもの、左側がロンアン省出土(6〜7世紀)のものです。ロンアン省もカンボジア南部と接しています。この2体のヴィシュヌ神像と一昨年前に入手したヴィシュヌ神像(左側)を比べたものが写真5〜11枚目です。表情、顔の輪郭、頭部の形状、肩や胸部から腰までのラインや、横から見た上半身から下半身の体形や姿勢など、やはり同系列のもので、年代的にも同時期のものだと思います。結論は変わらず、一昨年入手したヴィシュヌ神像はオケオ及びオケオ周辺で作られた扶南国6〜7世紀ごろのものだと思います。証拠は今回の比較と以前比較したカントー省博物館蔵のヴィシュヌ神像との比較(記事のリンク:https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2022-09-03)ですべてです。これ以上の比較はたぶん無理なので、ヴィシュヌ神像の考察はこれが最後になります。

右側のヴィシュヌ神の記述

左側のヴィシュヌ神の記述

右側のヴィシュヌ神との比較(写真4枚)

左側のヴィシュヌ神との比較(写真3枚)
ここからは博物館の様子です。

<追記>2023年3月2日 最後にもう1点比較します。写真はホーチミン市美術館に展示されているヴィシュヌ神のトルソー(タイニン省出土、7〜8世紀)です。タイニン省は省の半分以上がカンボジアとの国境に接している省で、個人的にはアンコール・ボレイやプノン・ダ美術に近いと思います。胴体部の比較だけでも体型(スタイル)がそっくりで、ほぼ同時期のものだと推測出来ます。


<追記>2023年5月28日 もう1点比較します。こちらもホーチミン市美術館に展示されているヴィシュヌ神(タイニン省出土、6〜7世紀)です。こちらは頭部は残っていますが修理されている為、首が長くオリジナルの時よりも首が長くなってしまっていますが、顔の表情や胴体部の繊細な造りを見てもかなり優品だと言えます。3枚目が比較した写真ですがこちらも体型(スタイル)がそっくりで、ほぼ同時期のものだと思います。参考まで

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