ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)その1 [タイ発]
凄いものを入手しました(写真1、2枚目)。シュリーヴィジャヤ期 四臂のヴィシュヌ神像です。テラコッタやブロンズ品以外の砂岩製の像を写真だけで購入を決めることは今までありませんでしたが何枚かの写真を見てこれはどうしても手に入れるべきものだと思い決断を急ぎました。購入意思を伝えるまでの短い時間でまず行ったのが昨年行ったナコーンシータマラート国立博物館に展示されているヴィシュヌ立像(7〜8世紀、写真3枚目)と写真を比較することでした。
今回のブログ記事は決断に至るまでに確認したポイントをまとめてみました。写真4〜7枚目が正面、背面、斜め、腰部の順で計4枚の比較写真です。見ての通り肩や胸部から腰までの体型、写真6枚目の斜め写真からも分かるように顎を引き前方少し上に反った姿勢や写真7枚目の腰部のサンポットのライン等、美術様式が共通しているのが分かります。また写真4枚目からも分かるように風化した砂岩の材質表面の状態もよく似ており、(かなり昔にタイ南部で出土したもので正確な出土地の特定は出来ませんが)もしかしたら同出土地もしくは近いエリアで出土したのものかもしれないと思いつつ、ここで購入する意思を伝えました。ここからの比較は購入後に分かったことです。写真8枚目の頭部のないヴィシュヌ立像はベトナム・ホーチミン市のFine Arts Museumに展示されているベトナム南部タイニン省出土(7〜8世紀)のものです。同じ砂岩製ですが石質は異なります。しかしヘソ部分を中心に美術様式(ライン)が共通しています。今回購入した像の年代もほぼ同時期の7〜8世紀のものと考えていいと思いました。最後の写真3枚はベトナム歴史博物館に展示されているヴィシュヌ立像(6〜7世紀、オケオ周辺出土、オケオ文化)2体とその比較ですが造りや顔立ち、輪郭がよく似ています。このことからも今回入手したヴィシュヌ立像は扶南国にも繋がる石像、、おそらくこの像の出土地は東西交易の中継地になったバンドン湾エリアに当たるスラータニー県もしくはナコーンシータマラート県の可能性が高いと思いました。
ナコーンシータマラートに行ったのは昨年7月、ホーチミン市に行ったのは2年前の6月ですが今回この石像を無事迎える為の過程だったのかもしれません。コロナ明けには再度ホーチミン市やベトナム南部を回りたいと思っています。以前行ったナコーンシータマラート国立博物館とホーチミン市のFine Arts Museunと歴史博物館の過去の記事を貼りつけておきます。参考まで。
https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-07-12
https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-07-02
https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-06-30
<追記>2021年10月17日 ナコーンシータマラート国立博物館の展示品の側面画像が見つかったので比較してました。頭部は違うが体格や体型がほぼ同じことが分かる。博物館品(右側)はおそらく首部分を直していると思う。左側は新たな補修なしのオリジナルです。
<追記>2021年10月23日 10月23日にこのヴィシュヌ立像について続きの記事を書きました。リンクはこちらです→https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2021-10-23
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Metropolitan Museum of Art Series)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
2021-10-10 00:08
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コメント(1)
ヴィシュヌ立像(砂岩製)の側面の比較画像を追加しました。
by プラヤー (2021-10-17 23:01)