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扶南美術とドヴァーラヴァティー美術 比較 [ベトナム発]

歴史博物館(ホーチミン市)に展示されている写真右側の扶南国の木製仏(国宝、6〜7世紀、ドンタップ省出土)とタイ東部出土のドヴァーラヴァティー期青銅仏(7世紀後半〜8世紀初)を比較(写真1、2枚目)してみました。このベトナム歴史博物館(ホーチミン市)には計4体の木製仏が展示されています。そのうち一番右側の2メートル以上ある木製仏だけが「腰をくねらせた」タイプのものです。タイ出土の同タイプの青銅仏(左側)と見比べるてみても、体形や姿勢がとてもよく似ています。タイとベトナムは隣接していませんが、互いにその間にあったカンボジアのプレ・アンコール美術(6〜8世紀)の影響を受けたとすれば理解しやすいです。また国によって少し見解は異なりますが、この時期は現代のタイ中部から南部、カンボジアとベトナム南部は扶南王国の支配下(写真6枚目)にあったとされていますので納得出来ます。最後の写真は機内から撮ったメコンデルタ付近の眺めです。参考まで。
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<追記>2023年10月27日 同じ青銅製のプレアンコール期(アンコール・ボレイ様式)の仏像(左側)とも比較してみました。年代的にも近いもので体型や姿勢がよく似ています。この時期の仏像頭部は少し顎を引き、若干うつむきかげんです。胸部はフラット、お腹部分は少し出ています。体のラインが繊細に表現されています。
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ミャンマー ラカイン州 アラカン青銅仏 16〜17世紀 [ビルマ発]

珍しいアラカン王国の青銅仏を手に入れました。アラカン王国はミャンマー西部ラカイン州ミャウー(Myauk-U)で15世紀頃〜18世紀まで栄えた王国です。現在でも16世紀ごろの最盛期に建てられた遺跡群が大きなダメージなく残っています。写真が入手した青銅仏ですがかなり小型です。仏像部分だけならプラクルアン(お守り)サイズかもしれませんが、美術的には他のビルマの仏像とは異なる特徴的な美術様式をもっています。その1つがこの幾何学的なデザインの台座です。下から2枚目の写真は文献写真のものと並べて撮った写真ですが、台座の形状や美術様式がそっくりです。また少し前かがみの姿勢もこのアラカン美術の特徴だと思います。最後の写真が(文献に掲載されている)遺跡内部の仏像と比べてみたものですが、姿勢(頭部の傾き等)や頭頂部の形状がそっくりです。アラカン青銅仏は東京国立博物館にも文献同様のものが数点展示されていますので興味のある方はぜひ行って見て下さい。
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<追記>2023年9月12日 頂いたコメントから台座はヨニということが分かりました。またそこから、この小さな仏像部分がリンガをイメージして作られたことが推測出来ました。下の写真はベトナム南部アンザン省博物館に展示されているオケオ出土のリンガとヨニ(国宝、5〜6世紀)です。出土地、年代もまったく異なりますが比べてみました。何となくバランスが似ています。台座のサイズに対し、仏像部分がやけに小さく不自然さを感じていましたがこれで少し謎が解けたような気がしました。参考まで。
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Burma's Lost Kingdoms: Splendours of Arakan

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  • 出版社/メーカー: Orchid Pr
  • 発売日: 2001/12/01
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