ドヴァーラヴァティー期の塼仏(ナードゥン郡出土) [タイ発]
久しぶりにナードゥン(マハーサラカム県)出土の塼仏を手に入れました。残欠ですがドヴァーラヴァティー様式の仏陀坐像がいい感じで残っています。大型の塼仏ですが厚さが5〜10ミリほどなので出土時には既に割れていたものです。出土地近くの博物館に同型のものが展示されています(写真2〜4枚目)ので比較(写真5枚目)してみました。写真6枚目は文献に掲載されている同型のものです。年代は8〜9世紀頃のものです。マハーサラカム県ナードゥン郡の仏塔と塼仏については以前詳しく記事にしていますのでリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-02
下の文献にも同型の塼仏が掲載されていたはずです。
<追記>2023年6月13日 ケースに入れました。この塼仏は1987年に東京国立博物館で開催された「タイ美術展」に日本で展示されていました。展覧会の図録に写真と記述がありましたので写真を追加しておきます。No. 59の②の記述です。参考まで。
下の文献にも同型の塼仏が掲載されていたはずです。
<追記>2023年6月13日 ケースに入れました。この塼仏は1987年に東京国立博物館で開催された「タイ美術展」に日本で展示されていました。展覧会の図録に写真と記述がありましたので写真を追加しておきます。No. 59の②の記述です。参考まで。
Votive Tablets in Thailand: Origin, Styles, and Uses (Images of Asia)
- 作者: Pattaratorn Chirapravati, M. L.
- 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr
- 発売日: 1998/04/01
- メディア: ハードカバー
お守り、仏像コンテスト(2023年 1月 15日・ウタラディット) [仏像・お守りコンテスト]
忘れないうちに記事にしておきます、先々週の日曜日にタイ北部ウタラディットで開催されたお守りコンテストに参加して来ました。ウタラディットは一応北部に入りますが、スコータイ県やピサヌローク県に隣接しておりとスコータイ美術やタイ中部のアユタヤ美術の影響を受けています。タイ北部のランナー美術やチェンセン美術の影響も少しは受けていると思いますが、ウタラディット北側に隣接するプレー県までがランナー文化圏だと思います(はっきりとした線引きは出来ません)。またウタラディット県は若干ラオス(サイニャブリー県)に隣接しており当時ランサーン(ランチャーン)美術の影響を受けたと思います。ウタラディットのことはほとんど分からないので、感覚的な説明しか出来ません。(記事は下に続きます)
お守り大会はそのウタラディット市内中心部から少し離れた大学で敷地内で開催されました。大会前日ウタラディットに到着したのが夕方近かったので場所を確認しがてら会場を見に行きましたが、コンテスト会場の準備している段階でした(写真2〜6枚目)。写真7〜9枚目がコンテスト当日の様子です。コンテスト結果は出品1点のみですが見事に1位を取りました(写真10、11枚目)。お守りはカンペーンペット出土のカンペーン・ウートン仏です。カンペーン・ペット県出土のベンジャパーキーでプラ・スンコーやプラ・メットカヌンが出土した寺(遺跡)で出土したものです。下の写真は文献に掲載しているものとの比較(写真14枚目)とウートン青銅仏との比較(写真15枚目)です。ウートン美術初期の影響を受けており年代的にもスコータイ時代とほぼ同時期14〜15世紀のものでプラ・スンコーとほぼ同時期に制作されたものだと思います。このように出土系のお守り(プラクルアン)は当時作られた大きな青銅仏とも比較することが出来ます。最後の写真3枚はこのコンテストで項目別1位の賞品です。ナコーンラーチャシーマ県ワット・バーンライ寺で昨年2565年に発行されたお守りで現住職の高僧ルアンポー・トーンらによって入念されたお守りです。高僧ルアンポー・トーンは皆さんもよく知っている前住職の高僧ルアンポー・クーンの弟子です。コロナが終わり、タイのお守り、仏像コンテスト月に2〜4回の頻度で行われています。手持ちの出品出来るものはもうほとんど出品してしまいましたが、またチャンスがあれば行きたいと思います。
お守り大会はそのウタラディット市内中心部から少し離れた大学で敷地内で開催されました。大会前日ウタラディットに到着したのが夕方近かったので場所を確認しがてら会場を見に行きましたが、コンテスト会場の準備している段階でした(写真2〜6枚目)。写真7〜9枚目がコンテスト当日の様子です。コンテスト結果は出品1点のみですが見事に1位を取りました(写真10、11枚目)。お守りはカンペーンペット出土のカンペーン・ウートン仏です。カンペーン・ペット県出土のベンジャパーキーでプラ・スンコーやプラ・メットカヌンが出土した寺(遺跡)で出土したものです。下の写真は文献に掲載しているものとの比較(写真14枚目)とウートン青銅仏との比較(写真15枚目)です。ウートン美術初期の影響を受けており年代的にもスコータイ時代とほぼ同時期14〜15世紀のものでプラ・スンコーとほぼ同時期に制作されたものだと思います。このように出土系のお守り(プラクルアン)は当時作られた大きな青銅仏とも比較することが出来ます。最後の写真3枚はこのコンテストで項目別1位の賞品です。ナコーンラーチャシーマ県ワット・バーンライ寺で昨年2565年に発行されたお守りで現住職の高僧ルアンポー・トーンらによって入念されたお守りです。高僧ルアンポー・トーンは皆さんもよく知っている前住職の高僧ルアンポー・クーンの弟子です。コロナが終わり、タイのお守り、仏像コンテスト月に2〜4回の頻度で行われています。手持ちの出品出来るものはもうほとんど出品してしまいましたが、またチャンスがあれば行きたいと思います。
The Sacred Sculpture of Thailand
- 作者: Woodward, Hiram W.
- 出版社/メーカー: Thames & Hudson Ltd
- 発売日: 1997/11/10
- メディア: ペーパーバック
ヴィシュヌ立像(扶南、シュリーヴィジャヤ様式)その6 [ベトナム発]
台座を作って来たので(完結)の予定でしたが、記事を追加します。台座は台座屋に預けて作ることも出来ますが微妙な傾きなど可能な限り本物に近づけたいので再度博物館のものと比較してみました。写真4枚目はホーチミン市のベトナム歴史博物館蔵のヴィシュヌ神像(オケオ周辺出土)、写真5枚目はナコーンシータマラート国立博物館蔵のヴィシュヌ神像(タイ、ナコーンシータマラート出土)、写真6枚目はプラーチンブリー国立博物館のヴィシュヌ神像、写真7枚目はプノンペンのカンボジア国立博物館のヴィシュヌ神像です。見てのとおり、ヴィシュヌ神像は仏像とは異なり、姿勢が斜め上に反っており、頭部は少し上を見つめています。今回この部分にこだわりました。そして完成したものが写真2、3枚目と写真8枚目以降は側面(左側:作ったもの、右側:博物館)を博物館のものと比較したものです。側面の傾きがほぼイメージ通りになったと思います。体型や表情からはオケオ周辺出土のヴィシュヌ神(写真4、8枚目)やナコーンシータマラート出土のもの(写真5、9枚目)との比較がもっとも似ており、このヴィシュヌ神は扶南、シュリーヴィジャヤ系統のものということ分かります。参考にまで。過去の記事(その1〜5)のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/search/?keyword=%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%8C%E7%AB%8B%E5%83%8F+%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%A4
<追記>2023年1月27日 このヴィシュヌ神像がオケオ周辺出土のもの(ベトナム歴史博物館蔵)と体型や横顔が近いと記事で書きましたが側面を拡大した写真を掲載しておきます。結論的にはやはり記事(その5)で書いたようにオケオ周辺で作られたヴィシュヌ神像と思います。正面から見た比較は記事(その1)に掲載していますのでリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2021-10-10
<追記>歴史博物館(ホーチミン市)に展示されているオケオ出土の2体のヴィシュヌ神像と比較した最新の記事を貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2023-02-15
<追記>2023年1月27日 このヴィシュヌ神像がオケオ周辺出土のもの(ベトナム歴史博物館蔵)と体型や横顔が近いと記事で書きましたが側面を拡大した写真を掲載しておきます。結論的にはやはり記事(その5)で書いたようにオケオ周辺で作られたヴィシュヌ神像と思います。正面から見た比較は記事(その1)に掲載していますのでリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2021-10-10
<追記>歴史博物館(ホーチミン市)に展示されているオケオ出土の2体のヴィシュヌ神像と比較した最新の記事を貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2023-02-15
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ドヴァーラヴァティー期の塼仏(カラシン県出土) [タイ発]
写真1〜6枚目はタイ東北部カラシン県出土の塼仏片です。昨年初めて入手した頭部残欠です。頭部のみですが型押しの深いせん仏で立体的で美術的にも素晴らしいものです。頭部の周りは光背です。このような光背は日本の白鳳時代(7世紀後半〜8世紀初め)のせん仏にも見られます。この塼仏は仏暦2510年(西暦1967年)にカラシン県カマラサイ郡で出土したものでファーデートスーンヤーン仏と呼ばれる大型の塼仏です。写真7枚目が文献に載っている出土時の写真ですが土地の住民によって発見されたもののようです。完品は10個ほどでほとんどが割れた状態だったようです。写真8枚目が文献に掲載されている完品です。写真9、10枚目は文献の完品と比較したものですが型はもちろん、材質的にも同じの塼仏と分かります。年代的には8〜9世紀ごろのものです。ケースが仕上がったのでひと安心しました。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
2023年「タイ骨董日記」ブログ始め [ベトナム発]
あけましておめでとうございます。今年はうさぎ年なのでカンボジアのココナッツカッター(うさぎの木彫り)を飾ってみました。うさぎの手前はイノシシの木彫り(タイ北部、ランナータイ)で私の干支です。ウサギと共に歩むという意味です。ちなみにベトナムではうさぎ年ではなく、ねこ年になります。今年も宜しくお願いします。