シュリーヴィジャヤ期の塼仏(ナコーンシータマラート出土) [タイ発]
写真1、2枚目もコレクターから入手したタイ南部 ナコーンシータマラート出土のシュリーヴィジャヤ期の塼仏片です。かなり昔に銀枠に入れられておりとてもシブいです。写真3枚目はジャカルタのインドネシア国立博物館蔵の仏像(石像)で7世紀頃のものです。出土地は確か南スマトラだったと思います。タイ南部と同じシュリーヴィジャヤ文化圏のもので、同時期、カンボジア南部 アンコールボレイ出土の仏像(石像)に似たがっしりとした体型をしています。サイズはまったく異なりますが、写真4枚目が2点を並べて比較したものです。見てのとおり、体型や輪郭がそっくりです。このことからもこの塼仏片の年代はおそらく8世紀頃のものだと思います。この塼仏片も既ににステンレスケースに入れて(写真5、6枚目)保管しています。ケース裏面からも古い銀枠を見れるようにしました。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その9 [タイ発]
トラン出土のシュリーヴィジャヤ期(8〜9世紀頃)の塼仏です。トラン在住のコレクターに譲ってもらったもので、タイ プーケット県のタラン国立博物館にも同出土地の同型の塼仏が展示されています。写真2枚目は文献に掲載されているインドネシア出土の塼仏です。ジャワ島西部出土のものなのでタイ南部と同じシュリーヴィジャヤ文化圏のものです。並べて比べたのが写真3枚目ですが美術様式がそっくりで材質もよく似ています。出土地は異なりますがこの2点はほぼ同時期に作られたものだと思います。
<追記>2023年7月1日 タラン国立博物館(プーケット県)に展示されている同出土地の同型のもの(写真1枚目)と比較してみましたので写真追加しておきます。
<追記>2023年7月1日 タラン国立博物館(プーケット県)に展示されている同出土地の同型のもの(写真1枚目)と比較してみましたので写真追加しておきます。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ドヴァーラヴァティー期 青銅製 押し出仏残欠(ナコーンラーチャシーマー出土) [タイ発]
昨年入手した青銅製の押し出仏(写真1、2枚目)です。写真2枚目が全体像で中央が仏陀立像、両脇は従者のようです。写真1枚目は左側の従者部分ですがかなり大型のものだと分かると思います。仏陀の足の形状や台座部のハスの花や従者のスタイル等、繊細な作品でこのような大型のものをまだ博物館でも見たことがありません。これに近い構図のものがナコーンラーチャシーマー県のピマーイ国立博物館に展示(砂岩製、写真3枚目)されています。写真4枚目はその記述ですが、この押し出仏もほぼ同時期(8〜9世紀)に作られたのものだと思います。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ドヴァーラヴァティー期 ライオン残欠(ロッブリー出土) [タイ発]
ドヴァーラヴァティー期 テラコッタ製の台座(写真1〜3枚目)です。元はライオン像の台座部分の残欠で天面には4つのライオンの足が残っています。ドヴァーラヴァティー期の出土品の中でもあまり見ない独特なデザインで、西洋的な美術様式を感じます。同時期のものがロッブリー市内のソムデット・プラナーラーイ国立博物館(写真4、5枚目)やウートン国立博物館(写真6枚目)に展示されています。これらのライオン像はインドの国章のモデルになっている「アショーカの獅子柱頭 」(写真7枚目、紀元前250年頃、サールナート美術館蔵)から長い年月をかけて引き継がれてきた美術だと思います。年代的にはインド(ヒンズー)美術の影響を受けた東南アジア美術初期のもので7〜8世紀ごろです。以前入手した同時期頃のライオン像も持っているので過去記事のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2006-03-31
<追記>2023年6月15日 この特徴的な台座の形状と似たもの文献で見つけたので掲載しておきます。1枚目はベトナム南部オケオに近いキエンザン省で発掘された木製の柱です。5、6世紀頃のものだと思います。写真2枚目はナコンパトムで発見された石製の仏塔です。サンスクリットが彫られたもので円柱周囲の模様がよく似ています。こちらは8世紀前半と記載されています。参考まで。
<追記>2023年6月15日 この特徴的な台座の形状と似たもの文献で見つけたので掲載しておきます。1枚目はベトナム南部オケオに近いキエンザン省で発掘された木製の柱です。5、6世紀頃のものだと思います。写真2枚目はナコンパトムで発見された石製の仏塔です。サンスクリットが彫られたもので円柱周囲の模様がよく似ています。こちらは8世紀前半と記載されています。参考まで。
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ハリプンチャイ期 塼仏の母型 [タイ発]
タイ正月にランプーン県からすごいものを入手しました。ハリプンチャイ様式の大型の母型(写真1、2枚目)で材質はテラコッタ製です。母型なので塼仏の凸部分が逆の凹状になっていますが、目の錯覚で凹部分が浮き上がって見えるかもしれません。この母型を見た時に知っている塼仏の母型かもしれないと思いすぐに交渉をしました。写真3、4枚目はチェンマイ国立博物館に展示されているハリプンチャイ様式の大型の塼仏です。この塼仏と入手した母型を比較してみたのが写真5枚目です(比較し易いように母型は左右反転しました)。実物はまだ見ていませんがチェンマイ国立博物館の塼仏はこの母型から作られたものだろうと推測しています。(続く)
<追記>2023年6月2日 写真を撮り直しもう一度比較してみました。比較しやすいように左側の母型は画像処理で左右反転してあります。やはり同型の母型とだと思います。参考まで。
<追記>2023年6月2日 写真を撮り直しもう一度比較してみました。比較しやすいように左側の母型は画像処理で左右反転してあります。やはり同型の母型とだと思います。参考まで。
シュリーヴィジャヤ期の四臂観音菩薩 塼仏(トラン出土)その8 [タイ発]
プラチャオ・トンルアン 仏暦2512年 超レアもの [プラクルアン]
レアものを入手しました。写真1枚目がそのお守りです。私の大好きなお守り リヤン・プラチャオ・トンルアン 仏暦2512年(パヤオ県シーコームカム寺院)です。どこがレアなのかと言うと、拡大した写真2、3枚目を見てもらえば分かります。仏像や背景に何やら模様のようなものが見えます。実はこの模様は裏面の文字が表面にもプリントされているのです。お守り(リヤン)の製造工程で通常とは異なるタンミング等で生まれたもので、硬貨の世界ではエラーコインと呼ばれているようです。私は5年前にも一度の同様のお守りに出会ったのですが高価で少し考えていたところ、すぐにコレクターのコレクションになってしまいました。今回は前回の経験を生かして即決しました。仏陀が唱えるがお経がお守りから聞こえてくるようです。おそらくもう手に入らないと思います。その下の写真2枚は昨年仏暦2565年に同寺院で発行されたお守りです。古い仏暦2512年(写真上)のデザインをモデルにして作られた新しいお守りですがとてもカッコいいです。
<追記>2023年3月13日 早速写真屋で撮影してきました。
<追記>2023年3月13日 早速写真屋で撮影してきました。
ヴィシュヌ立像(オケオ文化、6〜7世紀 )歴史博物館(ホーチミン市) [ベトナム発]
再度、ベトナム歴史博物館(ホーチミン市)を訪れオケオ出土のヴィシュヌ神像(石像)を見て来ました。写真1枚目はオケオおよびオケオ周辺で出土した発掘品です。この中にある青銅製のヴィシュヌ神像(写真1枚目の上段右側から2つ目、キエンザン出土)はベトナムの国宝に指定(2012年)されています。写真2枚目が砂岩製のヴィシュヌ神像で右側がオケオ(アンザン省出土、6〜7世紀)のもの、左側がロンアン省出土(6〜7世紀)のものです。ロンアン省もカンボジア南部と接しています。この2体のヴィシュヌ神像と一昨年前に入手したヴィシュヌ神像(左側)を比べたものが写真5〜11枚目です。表情、顔の輪郭、頭部の形状、肩や胸部から腰までのラインや、横から見た上半身から下半身の体形や姿勢など、やはり同系列のもので、年代的にも同時期のものだと思います。結論は変わらず、一昨年入手したヴィシュヌ神像はオケオ及びオケオ周辺で作られた扶南国6〜7世紀ごろのものだと思います。証拠は今回の比較と以前比較したカントー省博物館蔵のヴィシュヌ神像との比較(記事のリンク:https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2022-09-03)ですべてです。これ以上の比較はたぶん無理なので、ヴィシュヌ神像の考察はこれが最後になります。
右側のヴィシュヌ神の記述
左側のヴィシュヌ神の記述
右側のヴィシュヌ神との比較(写真4枚)
左側のヴィシュヌ神との比較(写真3枚)
ここからは博物館の様子です。
<追記>2023年3月2日 最後にもう1点比較します。写真はホーチミン市美術館に展示されているヴィシュヌ神のトルソー(タイニン省出土、7〜8世紀)です。タイニン省は省の半分以上がカンボジアとの国境に接している省で、個人的にはアンコール・ボレイやプノン・ダ美術に近いと思います。胴体部の比較だけでも体型(スタイル)がそっくりで、ほぼ同時期のものだと推測出来ます。
<追記>2023年5月28日 もう1点比較します。こちらもホーチミン市美術館に展示されているヴィシュヌ神(タイニン省出土、6〜7世紀)です。こちらは頭部は残っていますが修理されている為、首が長くオリジナルの時よりも首が長くなってしまっていますが、顔の表情や胴体部の繊細な造りを見てもかなり優品だと言えます。3枚目が比較した写真ですがこちらも体型(スタイル)がそっくりで、ほぼ同時期のものだと思います。参考まで
右側のヴィシュヌ神の記述
左側のヴィシュヌ神の記述
右側のヴィシュヌ神との比較(写真4枚)
左側のヴィシュヌ神との比較(写真3枚)
ここからは博物館の様子です。
<追記>2023年3月2日 最後にもう1点比較します。写真はホーチミン市美術館に展示されているヴィシュヌ神のトルソー(タイニン省出土、7〜8世紀)です。タイニン省は省の半分以上がカンボジアとの国境に接している省で、個人的にはアンコール・ボレイやプノン・ダ美術に近いと思います。胴体部の比較だけでも体型(スタイル)がそっくりで、ほぼ同時期のものだと推測出来ます。
<追記>2023年5月28日 もう1点比較します。こちらもホーチミン市美術館に展示されているヴィシュヌ神(タイニン省出土、6〜7世紀)です。こちらは頭部は残っていますが修理されている為、首が長くオリジナルの時よりも首が長くなってしまっていますが、顔の表情や胴体部の繊細な造りを見てもかなり優品だと言えます。3枚目が比較した写真ですがこちらも体型(スタイル)がそっくりで、ほぼ同時期のものだと思います。参考まで
Arts of Ancient Viet Nam: From River Plain to Open Sea (Museum of Fine Arts)
- 出版社/メーカー: Museum of Fine Arts Houston
- 発売日: 2009/03/24
- メディア: ハードカバー
Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)
- 作者: Guy, John
- 出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art
- 発売日: 2014/05/06
- メディア: ハードカバー
ドヴァーラヴァティー期の塼仏(シンブリー県出土) [タイ発]
タイ中部シンブリー県インブリー郡出土のドヴァーラヴァティー期の塼仏片(写真1枚目)を入手しました。シンブリー県は日本人にとってはあまり知られていないマイナーな県ですがロッブリー県、ナコンサワン県、スパンブリー県、チャイナット県に囲まれた県でタイ中部のドヴァーラヴァティー期に栄えた古代都市に囲まれたエリアです。この塼仏はそのシンブリー県の古代都市インブリーから出土したものです。私はまだ行ったことがありませんがインブリー市内中心にあるインブリー国立博物館に同型の塼仏が展示(写真2〜4枚目)されています。博物館の記述にはドヴァーラヴァティー様式(7〜9世紀)、古代都市インブリー出土となっています。またチャンセンやロッブリー、ウートン等でも出土しているテラコッタ製人物像も同エリアから出土しています(写真5枚目)。最後の写真5枚はどこの博物館のものかまだ確認が取れていませんがタイ中部の国立博物館のものだと思います。ここには同型の塼仏残欠が展示されています。記述にはドヴァーラヴァティー様式(7〜8世紀)となっています。タイのコレクターが完品に近い状態のものを1点もっているのを知っていますが、大きめの仏陀のみの塼仏(倚像)です。日本でも白鳳時代(飛鳥時代後期)のものに近い美術のものがあります。これは残欠ですが、それでも典型的なドヴァーラヴァティー様式の頭部や顔、光背、そしてフラットな胴体部のライン等、当時の美術を十分感じさせてくれる貴重な逸品です。
ドヴァーラヴァティー期の塼仏(ナードゥン郡出土) [タイ発]
久しぶりにナードゥン(マハーサラカム県)出土の塼仏を手に入れました。残欠ですがドヴァーラヴァティー様式の仏陀坐像がいい感じで残っています。大型の塼仏ですが厚さが5〜10ミリほどなので出土時には既に割れていたものです。出土地近くの博物館に同型のものが展示されています(写真2〜4枚目)ので比較(写真5枚目)してみました。写真6枚目は文献に掲載されている同型のものです。年代は8〜9世紀頃のものです。マハーサラカム県ナードゥン郡の仏塔と塼仏については以前詳しく記事にしていますのでリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-02
下の文献にも同型の塼仏が掲載されていたはずです。
<追記>2023年6月13日 ケースに入れました。この塼仏は1987年に東京国立博物館で開催された「タイ美術展」に日本で展示されていました。展覧会の図録に写真と記述がありましたので写真を追加しておきます。No. 59の②の記述です。参考まで。
下の文献にも同型の塼仏が掲載されていたはずです。
<追記>2023年6月13日 ケースに入れました。この塼仏は1987年に東京国立博物館で開催された「タイ美術展」に日本で展示されていました。展覧会の図録に写真と記述がありましたので写真を追加しておきます。No. 59の②の記述です。参考まで。
Votive Tablets in Thailand: Origin, Styles, and Uses (Images of Asia)
- 作者: Pattaratorn Chirapravati, M. L.
- 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr
- 発売日: 1998/04/01
- メディア: ハードカバー